篠原健太/集英社・彼方のアストラ製作委員会

タカツテムの記録

何もかもが凄すぎる……! クローンを取り扱った作品で必ずと言っていい程扱われるのはオリジナルとの関係性や本人の命の価値であり、本作でもそれは同様 幼少の頃から王の肉体となると言われ育ったシャルス。それは外部的に命の価値を定められるだけでなく内部的にも存在の価値が定まってしまうもの。他に価値を持たないシャルスはその人生に疑問を持たない でも違う価値観を持つセイラはシャルスに押し付けられた価値を良しとしない。弟のように可愛がり別の価値を与えようとする セイラは自身のクローンに対しても別の価値を与えているね。セイラの行動により王女のクローンとして生まれた赤子は、アリエスとして生き母の愛を受け普通の少女として育ったのだから 変わり始めたシャルスはしかしセイラの死によって停滞してしまう。この時娘の死を悲しむ王とシャルスの想いは同じ。リンクしてしまう。 セイラの喪失、更にゲノム管理法の成立はシャルスに自分の命が無価値に過ぎないと思い知らせるものとなるわけだね だからカナタの前でシャルスが語る言葉は本当の自分を持たない器の発言。でも、カナタは旅の中でシャルスに内面から来る価値を持ち始めていると知っている カナタも親に押し付けられた人生から、先生に出会ったことで外部的な価値を得て、その後の遭難事件で自分の夢を定め内部的な価値を定めた人間。それによって親の呪縛から逃れている そんなカナタだから今のシャルスに届けられる言葉があるのだろうね カナタはセイラの死を悲しみそして仲間との旅を楽しんだのは他でもないシャルスだろうと叫ぶ。内部的な価値を認めさせようとする でも認めたとしてもこれまでクローンとして生きてきたシャルスとそうでない皆の間には分厚い壁がある。だからこそ命さえ奪いかねない壁としてそびえる球体に一直線に進み、飛び越えたカナタの行動は目を見張るものがある 右腕を失ったカナタはかつての約束を引き合いに出しシャルスに役割を与える。それは外部的な価値でありシャルスが望んだ価値。 内部的な価値を認め外部的な価値を得たシャルス。オリジナルの呪縛から逃れたシャルスが望む在り方を伴ってカナタ達の本当の仲間となった、そんな素晴らしい瞬間の映像には心が震えてしまったよ

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